Devilish

11/39
前へ
/573ページ
次へ
俺に真っ直ぐに手を伸ばし、それを握り締める寸前の姿で静止したフランちゃんが、黒いものを吐き出すように吠える。 「さあ、早く出て行ってよッ!! じゃないと、もう一回ぎゅっとして、その扉みたいにぐちゃぐちゃにしてやる!」 「…………。」 突発の事態に、何が何だか訳が解らなくなり、つい沈黙してしまう。 ……あ、あれ。さっきまでは、割と和んだ感じのいい雰囲気だったのに、いきなり空気がギスギスしちゃったな。何か、ひどいことを言っただろうか。 いや、だけど……なるほど。あんな大仰な扉まで用意して、こんな地下深くに幽閉してる理由は、これか。考えてみれば、一度はこの子に殺されかけてるんだ、俺は。 ……そっか。 「――――よしっ、フランちゃん」 「うるさいッ……うるさいうるさいッ!! 早く消えないと、本当に殺して……ッ!!」 「俺とゲームしようか」 「殺しッ――……え? ゲーム?」
/573ページ

最初のコメントを投稿しよう!

207人が本棚に入れています
本棚に追加