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俺に真っ直ぐに手を伸ばし、それを握り締める寸前の姿で静止したフランちゃんが、黒いものを吐き出すように吠える。
「さあ、早く出て行ってよッ!! じゃないと、もう一回ぎゅっとして、その扉みたいにぐちゃぐちゃにしてやる!」
「…………。」
突発の事態に、何が何だか訳が解らなくなり、つい沈黙してしまう。
……あ、あれ。さっきまでは、割と和んだ感じのいい雰囲気だったのに、いきなり空気がギスギスしちゃったな。何か、ひどいことを言っただろうか。
いや、だけど……なるほど。あんな大仰な扉まで用意して、こんな地下深くに幽閉してる理由は、これか。考えてみれば、一度はこの子に殺されかけてるんだ、俺は。
……そっか。
「――――よしっ、フランちゃん」
「うるさいッ……うるさいうるさいッ!! 早く消えないと、本当に殺して……ッ!!」
「俺とゲームしようか」
「殺しッ――……え? ゲーム?」
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