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「ほらほら、どうしたんだい? 動きもドロワも丸見えだよ!」
「にゃああああッ!! 何で当たらないの! もう、もうっ、怒った! フォーオブアカインドっ!!」
「え?」
煮えたヤカンのように頭から煙を立たせたフランちゃんが、細腕を天にかざすと同時に、その姿が蜃気楼のように歪み、瞬く間に四人に分裂した。
「は!? ちょっ……それは反則!」
「能力使っちゃダメなんて聞いてないもん。さあ、捕まえろーっ!!」
剣を握っている本体のフランちゃんから、三人の分身フランちゃんが指示を受け、一斉に俺を目掛けて飛びかかってくる。
こ、これは……ッ!?
「きゃー。東逧おにーちゃん。遊んでー」
「ふっふっふ、わがじゅーじゅんなる下僕め! 頭を下げたら踏んでやろう!」
「……。(無言で絵本を差し出している)」
俺の足下で、天使のような三人の悪魔たちが、ぴょんぴょんと跳び跳ねていた。
「くッ……!!? ご、ごふァッ!! な、なんて凶悪な能力だッ……一体、どのフランちゃんから遊んであげればいいんだッ!!?」
「え、いや、ちょっ……なんでっ!? ちがっ、これ失敗! 失敗だからっ!」
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