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眉に火が点いたように慌て、フランちゃんが「ブレイク!」と唱えると、その分身はぽふんと煙に変わり、空気に融けて消えていってしまった。
ああっ、なんて酷いことを!
「せ、せめて膝に乗せたかった……っ!!」
「そんなの知らないし……って、それより、今だ! 隙だらけ!」
「うわっ!?」
項垂れる俺の脳天をスイカのようにかち割る勢いで、剣が振り下ろされる。
辛うじて同じもので受け止めたけど、フランちゃんは息もつかせず剣筋を速めて、次々にそれを打ち込んできた。
「ていっ、やあっ、うりゃあっ!!」
「ちょっ……は、速すぎ……!」
目にも止まらない連撃を、反射と勘で何とかさばく。そ、そうだ。失念していたことすら失念していたけど、この子、レミリアと同じ吸血鬼なんだった。
「くっ……あぶねっ、おわっ!」
「う~っ……当たらない! いい加減、一回くらい当たってよ! もうっ!」
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