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「勝った勝った! ほらね、わたしが少し本気になったら、東逧なんてこうだもん!」
「ぐぬぬ……でもフランちゃん、能力使ったしー。反則じゃないかなー。おにーさん、ちょっと疑問の声だなー」
「だーめ。勝ちは勝ちだもんねー! ほら、もう一回やろ! 次は能力なんて使わなくても――……」
子供のように忙しなく、誇らしげに瞳を輝かせていたフランちゃんが、しかし、何かを思い出したように、笑顔を曇らせる。俯きがちになり、滑らかに動いていた口を閉ざす。
「――――……。」
程なくして、剣を、その場に投げ捨てた。
「……フランちゃん?」
「帰って。……そういう約束だったよ。わたしが勝ったら、帰るって……」
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