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踵を返し、部屋の中央に立ち返ったフランちゃんが、そこに座り込んでうずくまる。しまった。上手く乗せたつもりだったのに、思い出されちゃったか。
「…………。」
……どうにも、一筋縄ではいかないような、何か大きなトラウマを抱えているみたいだ。俺も、同じ穴の狢だから、その気持ちはよく解るけど。
まあ、解るんだけど、さ。
「……フランちゃん、こっち向いて」
ゆっくり距離を詰めて、フランちゃんの丸まった背中を前に、膝を付いて座る。肩を指でつつくと、患わしそうに手ではねのけられた。
「帰ってってば……!」
「一回だけ。な?」
「…………。」
渋々と足の位置を変えて、フランちゃんが、俺の声に従って振り返る。
――――むにっ、と。
フランちゃんのほっぺたが、その拍子に俺の剣に突かれて、餅のように柔らかい感触を共にして可愛くつぶれた。
「んむっ!?」
「はは。引っ掛かったな、フランちゃん。よし、これで一対一。次で決着だ」
「む、むぐっ……!?」
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