Devilish

19/39
前へ
/573ページ
次へ
剣を掴み取り、ほっぺにめり込んだそれをもち肌から離して、フランちゃんが目を剥いて俺に噛み付いてきた。 「ちょっ……えっ!? 一回だけの勝負じゃなかったの! そんなの聞いてない! ずるい、今のなし!」 「勝負に汚いもクソもないって慧音先生が言ってたよ? ……たぶん」 「たぶんって言った! それに慧音先生って知らないし!」 「ほら……アレだよ。松阪牛の友達で」 「牛なの!?」 妹紅に聞いた話だと、満月の夜には角とか生えるらしいし、特におっぱい……いや、っていうかそんなことはどうでもよくて。 辟易しているフランちゃんに得物を手渡し、代わりに床に転がっていた剣を拾い上げ、それを構える。 「次は俺が長い方を使うよ。ぺろぺろちゅっちゅ以下略のために、最後は本気でいくからね。泣いても知らないよ!」 「わたしだって、次は本気の本気だよ!」 「よく言った! ぺろぺろされて泣いても本当に知らないからな!」 「そっちで泣くのっ!?」 同時に飛び出した俺たちの間で、すかすかのプラスチックが交差し、鳴り響いた渇いた音が、地下の深きに吸い込まれていった。
/573ページ

最初のコメントを投稿しよう!

207人が本棚に入れています
本棚に追加