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◇
「なあ、咲夜。どこまで行くんだ?」
魔理沙たちを残し、図書館を出た俺は、時空が歪んでいるとしか思えないほどに長い紅魔館の廊下を、十六夜咲夜に連れられ延々と歩いていた。
どれだけ歩いても代わり映えのしない、廊下の赤い装飾が、そろそろ目にキツい。
「馴れ馴れしく呼ばないで頂戴」
「文もそれ言ってたよ。嫌なら名字で呼ぶけど、お前、俺と歳同じくらいだろ?」
「……それが何?」
「いや、別に……」
苛立ちを露にため息をこぼし、咲夜が少し脚を速める。
ナイフの銀色によく似た髪や、芸術作品と言っても過言ではない西洋風の顔立ちは、類を見ないほどすぐれているのに、このつんけんした性格がなー……。
「こっちよ」
「ん?」
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