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◇
「じゃあアリスは、遠隔通信上海人形を、にとりと竹林の医者まで飛ばして。魔理沙は引き続いて、アリスのそれが終わったら、魔力の糸の生成。それと――……あら?」
図書館の一角にひっそりと設けられた読書スペース。
そこに見える三つの像のうち、ひとつ……パチュリーが、図書館の入り口側の通路から現れた俺と、その後ろの咲夜の姿を見付けて、眠たそうな瞳を目視ギリギリの範囲で丸に近づけ、
「おかえりなさい。遅かったわね。依頼人が死に急いだんじゃないかと心配したわ」
涼しい顔をして言うもんだ。そんなパチュリーの脇から出てきた魔理沙は、得物を仕留めた猫のように得意げに腰に手をやり、ない胸を反らせて言った。
「ふふん。だから言っただろ。こいつは、フランに潰されるほどやわじゃないぜ。こーりんのバカなら即死だがな」
「バカはあなたでしょ、まったく。……ごめんなさい。上海に見張らせようと思ったんだけど、魔理沙に邪魔されて……」
と、こちらは唯一の良心であるアリス。
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