Devilish

21/39
前へ
/573ページ
次へ
「ん、別に全然問題なし。っていうかむしろ……なあ、パチュリー。この猟犬ちゃん、鎖でつないでおいてくれないか。こいつに邪魔されちゃってさ……」 背後の咲夜に、恨めしい目を送る。 ――フランちゃんと第三戦の火蓋を切り、あれからもう数時間が経つ。結局、決着は付かず仕舞いで、お互いに体力が尽きたところで引き分けとなったんだけど――……。 「引き分けだから、約束を半分ってことでぺろぺろちゅっちゅまでしたら帰るよ!」 「死になさい、ロリペド野郎」 ぐさり。ギャー。 ――……という感じに、ようやくフランちゃんとのスキンシップの時間に入ろうとした矢先に、アニメ主人公張りに颯爽と登場した十六夜咲夜に取り押さえられ、それは未遂のままになってしまったのだ。 「ぺろぺろとか、そういうのはフランちゃんを遊びに没頭させるための冗談だったのに、このシャレの通じないメイドは……」 大袈裟に肩を竦め、青息吐息を演じる役者の俺に、舞台女優には似つかわしくない鉄仮面をかぶったようなコワモテの咲夜が、ふんと鼻を鳴らす。
/573ページ

最初のコメントを投稿しよう!

207人が本棚に入れています
本棚に追加