Devilish

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梅雨入りの閉め切った部屋に干した洗濯物のように、じとっとした咲夜の目を流し、俺は口先を魔理沙に向けた。 「それで、義手の方は?」 「ん? ああそれは……って、いや、お前な。私たちがここに来てから、まだ四時間と経ってないんだぜ。目に見える進展も、話に出来る経過も無いに決まってるだろう」 「あ、そうか。そりゃそうだよな。じゃあ、俺に何か手伝えることないかな」 「ない」 即答。 「実際、お前は足手まといになるだけだ。悪気があるわけじゃない。ただ、早く腕を戻したいなら、こっちは私たちに任せておけ。――アリス、始めるぜ」 「ちょ、待ってよ。まだシャンハイ飛ばしてないんだから!」 首根っこを引っ捕らえられ、アリスがずるずると引きずられていく。同時に咲夜も、「ではこれで……」と腰を折り、物理法則を容易く無視して、さっさとこの空間から退場してしまった。
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