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「フランさま。フランお嬢様」
咲夜が鉄扉をノックし、名前を呼ぶ。こんな分厚い扉の向こうに、そんな鼓膜も破けないような音が聞こえるのだろうか。
『……なに』
返ってきた声は、予想よりずいぶん幼かった。どことなく、レミリアと似通った雰囲気があるけど、お嬢様っていうくらいだから、やっぱり肉親か何かなのかな。
「十六夜咲夜で御座います。この度は新しい、お遊戯の相手を連れて参りました」
『……いらない。帰って』
「そう仰らず。今、そちらへ入れます」
『やめてってば!』
斬り付けるような、鋭い声が飛んできた。少しばかり怯んだ様子で、扉に手を触れていた咲夜が目を丸くする。
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