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「えっ、ちょ、咲夜さん!? うわっ、信じられねえ、閉めやがった! おい、お前は入らないのかよ!」
『二時間後に迎えに来るから。それじゃあ、あなたが新たな犠牲者の一人にならないことを祈るわ。……明日あたり(ボソッ』
「今ボソッと明日あたりって言った!? 明日までには死ぬっていう暗示なの!? ちょっ、返事してよさっきゅんっ!!」
隻腕で扉を叩き、抗議の言葉を投げかけるも、それ以上の返事はなかった。あ、あのメイド、やってくれたな……っ。
「……うるさいなぁ」
求めた方向とは正反対の背中側から、咲夜の代わりに俺の鼓膜を揺さぶったのは、先ほどまで壁一枚向こうに聞こえていた、あの幼い声だった。
……ああ、もう。わかったよ。仕事するよ。どうせ死ぬつもりないし。
諦めて振り返り、声の主を目にした瞬間、
「……あれ?」
思いがけないことに、その顔に見覚えがあり、思考がぴたりと停止する。
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