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……さて、参ったな。
何が参ったって、まさかバイトのパートナーがこの子だったとは。以前は狂気に満ちた姿だったけど、今は全くそれが感じられないのが、少し不思議な感覚だ。
あの時は、訳の解らないうちに攻撃されたけど、今のところ、向こうからの敵意は感じない。むしろ、俺の危機察知センサーは安全だと言っている。
そのギャップの所為で、詰まるところ……どう相手をしたものか、迷っている。
「……わたしが怖くないの?」
「ん?」
フランちゃんが、初めて会話の先手を取り、機先を制してそんな問いを投げかけてきた。
「覚えてないけど、わたしに殺されそうになったんだよね。怖がらないの?」
「怖い? ……いや、可愛すぎて、ある意味では怖いけど」
何度でも言うけど、幻想郷ってのは読んで字の如くだよな、などと考えていた矢先、途端にフランちゃんが目を剥き、歯をギリッと軋らせた。
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