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二人が見ている方を見ると、スーツを着た会社員っぽい人が立っていた。
なんだ?
普通の格好なのに違和感がある。
なんかこう……近付いたら危ない感じ?
「…早速かよ」
と魔王が言った。
早速? 普通の会社員じゃないか。
「何が早速かわからんが、先に行くぞ」
「待ってください」
声を荒くして言う天使。
「何が待てだ。普通の人だろうが」
無視して歩みを進める。
会社員の横を通り過ぎたが何も起きなかった。
「何を警戒してるんだ。帰るなら行く――」
俺は振り返り行くぞ、と言いかけた瞬間小さい爆発音と共に、何かが俺の頬をかすった。
何が起こったのか把握するため頬を触る。
ヌメっとした感触が手に伝わった。
頬から手を離し滑り(ぬめり)の正体を確認すると、それは赤い液体だった。
「血……か?」
赤い液体の正体は血。
前を見るとこちらに拳銃の銃口を向けている、会社員が目に入った。
どうやら撃たれたらしい。
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