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「副会長が君に用があるって」
「ぼくに?」
「そう、だから昼休み、体育館裏で。じゃあ!」
狭霧に用件だけを伝えて、渡は逃げるように一年三組をあとにした。背中に梨花の視線を感じた気がするが、無視だ、無視。後ろから何かが追いかけてくる気配も足音もするのだが、無視。気のせい気のせい……
「ぎゃはぁ!」
にしようと思っていたのに、いきなり背中を殴られた。顔から廊下に滑り込む、渡。
「……何するんですか」
「そりゃこっちの台詞だよ。なんであたしの幼なじみに、美奈子がちょっかい出すんだよ」
不機嫌そうな声だった。いつもは美奈子のナンパに「ほどほどにしとけよ」と手を振るくらい、寛容なのに。
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