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いつもと今日のギャップに驚きつつも、渡はどうにか立ち上がった。
廊下を歩く生徒はまばら。もうすぐチャイムが鳴るのだろう。賑やかになる教室と対照的に、廊下は活気を失っていく。
「ちょっかいじゃないですよ。今回は美奈子先輩、本気みたいですから」
自分でも驚くほど冷たい声が、静かに響く。
梨花の瞳が一瞬揺れた。それを隠すように首を振って、彼女は声高に要求する。
「山田。あたしと勝負だ」
「先に言っときますけど小さいころから古武術を習ってる会長と、喧嘩する気はないですよ」
「あたしの武器は竹刀一本」
「聞いてますか!?」
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