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「やっと水が飲めるようになってねー。まぁ、中入りなよ。」 手招きをされて中に入る。 諒ちゃんに近付くたびに、心臓がドクンドクンと音を立てるのが分かった。 カーテンを開けてくれたお陰で、諒ちゃんの姿が目に入った。 まだ酸素マスクは外れてなくて、横たわったままだけれど、ちゃんと目は開いてる。 「諒ちゃん、来たよー。」 「あー・・・。あり、がと・・・。」 椅子に腰をかけて、諒ちゃんの手をそっと握る。 温かい優しい手は、今までと何一つ変わっていない。 溢れる涙を見たせいか、諒ちゃんは少し戸惑った顔をして あたしの頬を撫でてくれた。
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