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学校が終わると、病院に向かう。
もう日課になっていた。
「諒ちゃん、来たよー。」
病室に顔を出すと、諒ちゃんは嬉しそうに笑ってくれた。
あたしはなにより、諒ちゃんの笑顔が大好きなんだ。
ベッドの横にある椅子に腰をかけて、諒ちゃんの手に触れる。
まだそんなに喋れない諒ちゃん。
それに気遣ったわけでもないけれど、会話がなくてもこうして一緒にいられる。
そうすると、安心したような表情で眠りにおちていく。
あどけない寝顔を見つめているだけで、幸せなのに
不意に思い出されるのは、あの言葉。
鼻の奥がツーンとして、目にじわっと涙が浮かんできたとき病室のドアが開いた。
「いつもいつも本当にありがとう。」
諒ちゃんのお母さんだった。
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