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オレはその日を境に、けっこう明るくなった。嬉しかったのは、小学校に行けばあいつに会えること。「きりのくん」「しんどう」と呼んでいたのがいつのまにか「らんちゃん」「たくと」になったこと。お互い仲良くなってきた頃、オレはあいつに家に招かれた。
「らんちゃん、家に猫がいるんだ。見に来ない?」
ちょっと決まり文句みたいだったけれど、なによりもたくとが誘ってくれたことが嬉しかった。
「行くよ。絶対行く。」
「今日の放課後でもいい?」
「うん!」
たくとの家の大きさにはビックリしたけれど、メイドさんたちは優しかったし、猫もかわいかった。
「家まで送っていくよ。らんちゃん。」
「ありがと。」
オレの家まで帰る途中、いろんなことを話した。
「ボクは、おとうさまがお金を持っているからいじめられるんだ。」
「えっ?」
「だってみんなそういうんだ。お前はサッカーをしないのに何でそんなに幸せなんだ。オレの父さんも、どんな世の中の人もサッカーで幸せをつかんでいるのに、どうしてお前はそんなに幸せそうなんだって。
だったらオレが、その分、おまえを不幸にしてやるって。だから、ボクは…」
「そんなのダメだよ」
「えっ?なにが?」
「いじめられるのをたくと以外の理由だけにしちゃダメだ。たくとが変われるところを見つけて、強くならなきゃ。オレも手伝うから、一緒に強くなろう。」
「ボクにできるかな…」
なんか、空気が悪くなった…?言い過ぎた…オレは、たくとに強くなってほしいだけなのに。
「ひっ…ひ、ひっぐ、う…ふえぇ…うわふぁあ~んっ…ひぐっえぅ…えぐっ」
ななななな泣いたっ!?
言い過ぎたっ?!
「あわわっ!?ごめん…」
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