俺たちの商店街

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 私がまだ小学生に入るか入らないかだった頃。  10年近く遡るだろうか。  秋津一番星商店街は、確かに今よりは輝いていた。  しかし、特別な賑わいを見せていたという訳では決して無く、ごくごく普通のありふれた商店街であったことは間違いない。  しかし、時の流れは秋津一番星商店街には残酷に作用したようで、緩やかに緩やかに衰退していった秋津一番星商店街の息の根は、10年近く経った今―― 「終わったわね、商店街も……」 「な、なんてことを言うんだよのりちゃん!」  しまった。  思わず本音をポロリしちゃった。  重木さんに怒られちゃったわ! 「まあ、のりちゃんの気持ちも分からんではない。確かに終わっとるし」 「やめろよ、魚(うお)ちゃんまで……」  少し離れた場所に座っていた二人。  私に同調したのがお寿司屋の魚木(さん)。みんなから魚ちゃんと呼ばれている方で、このメンツの中では私に次いで若い。  とは言っても、もうすぐ40になる方だがね。
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