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その直後、ずっと寝ているみたいだった柳瀬のお爺さんは目を見開いて私の姿を上から下まで凝視。
“貧相だから無理”という格言を吐き捨てた後、再び眠るように瞳を閉じてしまった。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
なんか望まない空気になってしまってるのは気のせい?
んっんー、と無理矢理な咳払いをしたのは小木さん。
「貧相に負けてる場合じゃないぜ、のりちゃん!」
「そもそも貧相と勝負しているつもりはありませんから」
謎の励ましをした小木さんに私がひと睨み入れたのを区切りに、気を取り直したらしい重木さんが口を開いた。
「世間じゃゆるキャラなんてものが流行ってるそうじゃないか」
ゆるキャラ。
ゆるくてかわいいキャラ。ご当地をアピールするために、日本全国至る場所で産声を上げ続けているアレだ。
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