プロローグ

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「おい!誰かあの坊主を捕まえろ!」 「あんなの無理だ!ところ構わず刃物振り回してきやがる!」 「そうよ!子供だからって凶暴すぎるわ!」 「だからって放っておくわけにもいかねぇだろ!商売上がったりだ!」 「だったらあんたがなんとかしなさいよ!」 「ふざけんなよ!金が出てる訳でもない、怪我して捕まえる意味がねぇ!」 大人たちの声が聞こえる。 それは負の感情が混ざった悲痛の声。 僕は独りだった。 幼い頃に内乱で両親を無くし、親戚にの間を転々とした。陰口を言われ常に子供達のイジメの対象。しまいには8歳でナイフを一本持たされてスラムに捨てられた。 その時点で弱い僕の心は壊れていたのかもしれない。 頻繁にスラムに近い商店街に行っては食べ物を盗み、見つかったら自分のナイフで牽制しながら逃げ隠れる。 同じスラムの奴らでも食料欲しさに僕に攻撃してきた奴も居た。 そういうのは容赦なく斬りつけてやったし、時には殺したりもした。 妬み、恨まれる。 闇に満ちたそんな毎日。 でも、そんな僕でも、闇を無くしてくれる白い光があったんだ。 それはとてつもなく眩しくて、おもわず目を瞑ってしまうけれど、涙が出てくる程に暖かかった。
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