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風が荒れ果てた地面に静かに吹き付ける。そこを歩く一人の青年がいた。彼の名はディオン。貪欲な者逹の争いにより、故郷をなくしたのだ。
彼は歩いていた。ただただ歩いていた。
「み…水…。」
ディオンは小さな声で呟いた。
普段着の上にはおっているぼろぼろの布をはためかせながら、足が棒になる程に歩いたかのように感じるほど時がたったときのことだった。遠くに街が見えたのだ。
「ま…街だ…。早く…行かないと…。」
朦朧とする意識の中、呟いた。
そしてまた、しばらく歩き続けた。
ついに、ディオンは街に到着した。と同時に、疲れと喉の渇きと空腹からか、その場に倒れてしまった。
ディオンの倒れた場所に、一つの人影があった。
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