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二人の間に和やかな空気が流れる。
が、瞬時に俺は大事なことを思い出した。
今の俺らが立たされている状況を。
「ち、遅刻ぅぅうぅ!」
「ふぇ!?あ、そうだった!」
俺の一言で、裕翔も思い出した様だ。
走る俺を追いかけるように彼もまた走り出した。
だが、異様に遅い。
本人的には必死に走っているんだろう、だか実際には遅い。
まぁ、万年通知表の体育の欄がアヒルな彼に速く走れなんて言えるはずもない。
内心、はぁ…と重くため息をついた。
「ゆーと!早く!!」
「うわぁ!?」
見兼ねた俺はぎゅっと裕翔の手を握り走り出した。
最初は戸惑っていた彼だったが、状況を理解すると嬉しそうに手を握り返す。
学校は、もう目の前だ。
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