「お前は俺の物だ」

狂った皇帝

なんて回答が返ってきた。

それも、とびきり笑顔でーー。

母はお人好し、ついでに超バカ。

母はどうして父と結婚したんだろうか。

一度、母にその事を聞いたが母は困った顔をして、

「またーーいつか教えてあげる」
遠い目をしてそう答えやがった。

でも、母のそんな表情は初めて見せたから何故か触れてはいけねぇような気がしたのでそれからは

二度と聞かないようにした。

そんなある日、母が死んだ。

あの意味を教えてくれないまま。

「まだ、あの意味を教えてもらってねぇよっっ！」
俺は泣いた。母は俺を人一倍愛してくれた。

俺の親父はいつも仕事が終わると
他の女の元に行ったきりで家に帰らずまたそのまま仕事に行く繰り返しだった。

親父に『愛』なんて物を貰った事がない。

母も多分、淋しくて泣きたかったと思う。
なのに、母は優しく強くて綺麗だった。