『お嬢様とオタク様』

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『性格や見た目は両親からの遺伝で、優性や劣性がある。』 今日習ったことだ。 俺は、生物は嫌いだ。 『火星などにも人間に似たものがいるだろうから、地球から電波で交信しようとしている。』 これも今日習ったことだ。 こっちの方がまだましだ。 はっきりしない所とか、人間じゃない生物が存在するとなるとなんかワクワクしてくる。 とは言ってもだ。 俺は宇宙人が好きな訳じゃない。 「おい、苑田ー。お前が好きそうな写真、持ってきてやったぞー。」 「おぉ!これはもうすげぇな!でもやっぱり、レノちゃんの方が可愛い。」 そう、俺『苑田 卓』は大のバンパイアオタクだ。 特に、『レノ』という名前のバンパイアが大好きだ。 俺は、そんなバンパイアが現実に存在すると信じている。 俺と同じようなことを考えている集団。 それが、ここ『未確認生物研究会』だ! メンバーは俺と、宇宙人担当の『ウッチュー』こと『内田 空』、透明人間担当の『スケルトン』こと『新山 秀介』の3人だ。 男だらけで泥臭そうに思えるだろうが、ここは男子校だ。 どう足掻こうと男子しか存在しない。 そんな、俺らの学校『快精高校』とは真逆の華の女子校『桃風学園』がこの町の南端にある。 俺らの学校は北端にあるから真逆の所にある。 そこには、湊都総合病院の医院長『湊都 宗一郎』の1人娘の『湊都 瑠菜』というこの辺ではそこそこ有名なお嬢様が通っている。 まあ、生活は俺とは真逆だろうな。 住んでる所と同じくらい。 俺の家族は、母親、父親、姉貴の愛、妹の咲と雪、弟の健と駿の8人家族だ。 あと、俺の愛犬フランもいる。 両親は仕事で家を空けることが多い。 姉貴はダラダラしてるから家事の大体は俺がやっている。 「痛っ!また、指切ったー!」 未だに食事作りは大変だ。 「ワンワンっ!ペロッ」 フランは俺の怪我した傷口をよく舐めてくる。 舐められた傷口は、何故かすぐに治る。 フランとは、4年前にペットショップで出会った。 他の犬とはどこか違ったオーラみたいなのが感じられた。 フランにどんな能力があるのかは俺には分からない。 フランと触れ合うことが俺の唯一の楽しみだ。 俺の生活は、まぁ普通って言ったら普通だな。
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