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これ以上のない晴天
二人で考えた、四季の花束が完成しました
今から二人はこの暗い城を抜け出して、勇者の村へと向かいます
勇者は視力と引き換えに手に入れた指輪をしっかりと懐に入れて
ミーアは片手にしっかりと花束を持って
二人で手を繋いで階段を降りていきます
ミーアは笑顔でした
勇者は笑っていました
二人で城を出て明るい陽射しの下に出たとき
二人の、城の周りは、無数の兵士に囲まれていました
それはあまりに突然で
勇者は携えていた剣を抜き、構えた
混乱はしていたけれど、直感で分かっていたのです
この兵士たちは王国の兵士
おそらく、魔王はいなかったと言った勇者がその後も何度もこの城に足を運んだことを村人が不信に思ったのでしょう
兵士を呼び、魔王討伐に向かわせたのです
ミーアは、酷く怯えています
状況が掴めた今、勇者は反射的に抜いてしまった剣を納めました
ミーアは魔王ではない
どこにでもいるような、か弱い少女なんだ
それを兵士に伝えようと
一歩前に出た勇者の胸に、冷たい矢が刺さりました
我々に剣を向けた時点で反逆だとでも言うように、無慈悲な一矢
声も出せず崩れ落ちる勇者
剣を抜いた兵士たちがミーアに向かっていきます
ミーアを守らなければ
死にゆく勇者が必死の思いで顔をあげると、そこには少女は既にいませんでした
そこにいたのは、酷く醜い、それは魔王と呼ぶにふさわしい化け物
その右手には、花束
二人隣に並んで村人たちのために一生懸命作ったあの花束が
一斉に魔王に斬りかかっていく兵士たち
いつの間にか立ち上がり、勇者は剣を抜いて兵士と立ち向かいます
胸は、痛まない
確かに死ぬはずだった勇者
勇者は気付きました、自分があの魔王に救われたことを
あの心優しい少女に救われたことを
命を司る、少女の力
その代償は、人の姿を失っていくこと
少女はその力で勇者の命を救ったのです
人として生きる道を犠牲にして
きっと少女は今までもそうして誰かを助けて
人の姿をだんだんと失っていって
自分が助けた誰かに迫害されここまで逃げてきた
そうして、この城で勇者と出会ったのです
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