14人が本棚に入れています
本棚に追加
この都市、学園都市と言うだけあって人口の八割は学生である。
従って犯罪を犯すのも学生が多い、中でも能力者による犯罪が近年増加しているそうだ。
昼間は人通りが少ないビル街も、午後16時を過ぎれば下校する生徒達や、帰宅後遊びに繰り出してきた少年少女達で賑わいはじめる。
そんな下校時間帯。
ツインテールをなびかせて、ビルの屋上から隣のビルの屋上へテレポートで移動する人影が一つ。
『次のビルの間です、白井さん』
飴玉を転がすような甘い声が、白井と呼ばれたツインテールの少女のインカムから響いた。
「あそこですわね」
白井黒子は風紀委員(ジャッジメント)である。
風紀委員、能力者の学生達で構成される、学園都市の治安維持機関の一つ。
主に【校内】の治安維持の為の組織だ。
常盤台中学の制服をなびかせて、ビルから飛び降りるように姿を消した白井黒子。
つい先日。
少女が男達にビルの間の路地裏に連れ込まれると言う事件が起きた。
連れ込まれたのは黒子が「お姉さま」と、呼び慕う学園都市で七人しかいないレベル5の内の一人。
駆け付けた時には既に遅く、連れ込まれたレベル5の少女、御坂美琴は連れ込んだ男達を自身の能力で黒焦げにしていた。
今回受けた通報も同じ内容だったので、もしやと思って黒子は現場に急行したわけだ。
「風紀委員です。
あなた達を暴行未遂の現行犯で拘束しますの」
「誰だおま――」
テレポートした先、目の前にいた男を投げ飛ばし、手錠を掛けると黒子は風紀委員の腕章を見せる為に立ち上がった。
(お姉さまではありませんでしたわね)
内心恐々だった黒子が胸を撫で下ろす。
「風紀委員ですの、そちらの方大丈夫ですか? 今助けに――」
先日も同じセリフを言った気がしながらも、黒子は少し先の暗がりに立つ少女の元へ向かう。
しかし、黒子は見た。
何かが服に刺さり、壁に拘束されている男、近くの壁に寄り掛かったまま気絶しているずぶ濡れの男、地面に倒れている男も全身ずぶ濡れ。
状況から見て、目の前にいる背をこちらに向けた少女がやった事だろう。
その少女は白いワンピースを纏い、麦わら帽子をかぶっていた。
黒子に気が付いて、その少女が黒子の方を向く。
腰辺りまで伸びた白髪がキラリと輝いたような気がした。
最初のコメントを投稿しよう!