キーホルダーの世界へ

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 高校の帰り道にある小さな雑貨屋。最近はスーパーなどの量販店に押され気味だが、ほかにはない品ぞろえのために、女子高生の間では人気がある。   値段はやや高いものの、精巧なつくりのアクセサリーには定評があり、特にキーホルダーについてはよく売れているようだ。  雑貨屋の扉を開けると、チリンという涼しげなベルの音が鳴った。  先ほどのコンビニとまではいかないが、涼しい風が店内から吹いてくる。  店内には同じ高校の生徒が数名いるだけで、静かだった。話し声よりも、店内に流れる音楽がはっきりと聞こえてくる。  ヒナは店に入ると、早速キーホルダーのコーナーに向かった。動物のキーホルダーはある程度持っていたので、人型のキーホルダーを探していた。 「あ、これ私っぽい」  いくつかある女の子のキーホルダーの中から、栗色の髪をした、白いワンピースを纏った女の子のキーホルダーを手に取り、それをレジに持っていく。 「これください」 「はい、えっと、五百八十円ね」  ヒナは財布から千円札を一枚取り出し、店員に手渡す。 「あ、すぐつけますから」  と包装を断り、お釣りを受け取るとすぐさま購入したキーホルダーをショルダーバックに取り付けた。
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