キーホルダーの世界へ

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 店を出ると、先ほどまで強かった日差しが少し和らいでいるように思えた。  青と白が半々だった空は、心なしか雲が多く見える。帰路の先を見ると、大きな入道雲が見えた。 「あら、夕立、来るかなぁ」  一雨来る前に、急いで帰ろうと、少し早足になる。  白い雲は徐々に灰色になる。あたりも少し薄暗くなっているような気がした。  交通量の多い交差点に差し掛かると、歩行者用の信号機がタイミング悪く青から赤に変わるところだった。  仕方なく、ヒナは横断歩道の前で足を止める。  と、同時に携帯電話の着信音が鳴った。バッグから携帯電話を取り出すと、友人からメールが来ていた。  それを確認し、信号を気にしながらも、返信メールを送る。  送信を確認すると、ゆっくりと携帯電話と閉じる。が、すぐさま携帯電話の着信音がなる。開くと、別の友人からのメールだった。  ふと信号を見ると、赤から青に変わる瞬間だった。ヒナは歩きながら、返信メールを作成する。  横断歩道の半分ほどまで歩いたとき、急にブレーキ音が聞こえた。  聞こえてきた方向を振り返ると、トラックが突っ込んできていたのだ。 「……え?」  ヒナ何の反応も出来ず、ブレーキが間に合わなかったトラックに激突し、数メートル先に飛ばされた。  かすかに聞こえる悲鳴と、風の感触、そして、ぽつりぽつりと降り出した雨粒を肌に感じながら、ヒナは徐々に意識を失っていった。
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