未知

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「…………寝れない」 小さな声で呟いたのは高野希実。 俺達と同じクラスの女の子だ。 黒髪のロングで身長は平均よりも小さめ。 いつも学校用の鞄に御守りを付けている。 普段は明るいが、今はかなり暗い。 まぁ当然と言えば当然か。 「寝れないなら俺らと喋っとくか?斗也と喋ってても暇で仕方ないし」 「……うん」 希実は俺の隣に座ると枕を置いた。 こっちで寝るつもりなのか? と思うが言わないでおこう。 「ねぇ……なんかさ、ちょっと言いにくいんだけど……」 そう言って希実はいつもの御守りを制服のポケットから取り出した。 「それがどうしたんだ?」 真矢が希実に言うが、希実はその御守りを見たまま動かない。 その数秒後、俺達は信じられない光景を見てしまった。 希実が持っていた御守りが突然光出し、希実の手から離れる。 その光は小さく、御守りは希実の手の少し上に浮いている。 「なんだこれ…………」 「マジかよ!!」 その御守りは俺達がいつも見ている物だけに、驚きが隠せない。 まるで何か不思議な力があるかのように弱々しく光るその御守り。 やがて御守りは希実の手に戻り、光も消えていく。 「ね?なんかおかしい……でしょ?」 そう言う希実は何か少し疲れているようで、汗ばんでいる。 この数秒で何か運動をした後のように。 「いつからそうなったんだ?それ……いつも付けてるやつだろ?」 真矢は冷静みたいだ。 正直俺は驚きが隠せない。 いや、一番驚いてるのは希実本人だろう。 「さっき……御守りを触ってみたらいきなりこうなったんだよ……」 そう言って希実は御守りをポケットにしまった。
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