十三番目の栞-Enter-

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「閲覧、伸びないな……」 PCの画面を覗き込み、はぁ、と短い溜め息を零す。 入れ替わるように黒々としたコーヒーを一口啜り、回転式チェアの背もたれを軋ませる。 薄暗い六畳の部屋を照らすのは、そろそろ寿命らしくたまに消えたりする弱々しい蛍光灯と、この目の前に鎮座在すPC様だけ。 夕方に差し掛かってはいる物のまだ明るい外からの光は、締め切った遮光度の高いカーテンに遮られて侵入出来ずにいた。 ごちゃごちゃとゲームのハードやソフト、マンガやラノベが乱雑に氾濫する部屋を、親は「掃き溜め」と言い捨てたが、オレにとっては宝の山であり、オレが唯一落ち着ける聖域なのだ。 それを掃き溜め呼ばわりされる筋合いは無い。 「はぁ……」 ここ最近何かと多くなってきた溜め息をもう一度吐き出し、再び変わらないPCの画面を気怠げに見やる。 別にそこに映し出されているのは成人指定のアダルトゲーム特有の、少女のあられもない姿でもなければ、某巨大掲示板の文字の羅列や某動画投稿サイトの弾幕でもない。 白と水色を基調とした簡素なページである。
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