十三番目の栞-Enter-

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いわゆる小説投稿サイトである。 無料で利用できて、個々人がルールに違反しない範囲でなら好きに小説を書いて投稿・公開できるサイト。 小説だけではなくイラストやコミックなど、ジャンルも幅広い。 それでもオレが投稿しているのは小説だけだ。 それも恋愛モノやミステリーではなく、ファンタジー……それも、コッテコテの王道ファンタジーだ。 と言うのも、オレはファンタジー系のラノベやマンガ、アニメやゲームが大好きなのだ。 飛び交う魔法、剣戟の音、普通では体験し得ない超常現象……何とも胸躍るモノではないか。 しかし悲しいかな、書いてみて分かったがオレには文才と言う物がからっきしだったらしい。 小説に付くレビューも、「文章はそこそこだが、ストーリーがありきたり」、「どれもどこかで見たことのある設定ばかり」と散々だ。 無論挫折仕掛けたことも数え切れない、が、それでも今もこうしてオレは小説を書いている。 何故、と理由を問うのは無粋と言うものだ。 楽しいから、それ以外に理由が必要だろうか? 「……って、誰に対して説明してんだろうな、オレ……」 三度目となる溜め息を重々しく吐き出して、くたーっと机の上に突っ伏する。 いて、フィギュアが腕に刺さった。 手の甲に突き立った──勿論本当に刺さったわけではない──美少女剣士の構える切っ先を恨めしげに眺め、壊さないようにそーっとフィギュアを退かす。 それからPCの煌々と輝く画面に目を戻し、カチリと『更新』マークをクリック。 画面がホワイトアウトし、すぐに更新されたページが表示される。
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