十三番目の栞-Enter-

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だが。 「……変化無し、か」 そこに表示される数字に一つの変化も無いことを認識し、脳がより一層の虚脱感を与えてくる。 オレが見ているのは、オレの書いている小説の表紙ページだ。 と言っても本物の本とは違い、そのページには『閲覧数』や『しおり数』、『ランキング』などが示される。 ……最後のはオレには縁の無いものだけども。 つまりここを見れば何人がこの小説にしおりを挟んでくれて、総体で何回読まれたか、と言うのが数字で見れる、と言うことだ。 果たして、オレの書いている小説の表紙に記載された閲覧数としおり数はというと、だ。 閲覧数……999 しおり数……12 ……閲覧数は、まぁ、更新していればそこそこ伸びる。 同じ人でも違う日に読めば数にカウントされるからだ。  問題はしおり数……要するに、いつでも読めるように読んだところまでのページにしおりを挟んでくれている人の数。 実際にはこれがそのまま読者の数と言えなくもない。 つまりこの12と言う数こそが、一年ほど書いてきたオレの小説──『ウィザードスレイヤー~魔導狩りの白剣士~』の読者の数、と言うわけだ。 ……泣けるぜ。
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