十三番目の栞-Enter-

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しかし現実とは残酷なもので、嘆いても栞は増えないし、泣いてもランキングは上がらない、と言うか入らない。 それはこの一年でとっくに理解している。 それでも前述したように、オレは楽しいから書いているのだ。 例え読者が増えずとも書き続ける、そのくらいの気概は持っている。 持っている……のだけれども。 「流石に一年やってこれは……堪えるなぁ……」 静かな部屋にそんな独白が染みる。 いや、染みたのはオレの心に、なのか。 寂寥感と無力感が同時に襲ってきたかのような、どうしようもないやるせなさ。 何度この気分を味わったことか。 小説コーナートップページに行けば、閲覧も栞もウン十万なんて超人気作もある。 当然、ランキングでも一桁クラス。 そんなクリエイターなんて雲の上の存在に思えてしまう。 「……動画でも見るか」 失意の内にオレは無意識にそう呟いて、お気に入りフォルダから行きつけの某動画投稿サイトへ跳ぼうとする。 これ以上はちょっと心が持ちそうになかったのだ、少なくとも今は。 ……だが、それでも未練がましくカーソルを『お気に入り』へ向かう軌道から『更新』へ逸らしてしまうのは、果たしてオレの悪いところなのだろうか、何なのか。 硬質なクリック音が鳴り、画面がホワイトアウト。 一秒と経たずに相も変わらぬ無情な画面が表示される── 「…………ん?」 ──筈だった。
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