十三番目の栞-Enter-

6/6
前へ
/10ページ
次へ
オレは画面のある一点を思わず凝視してしまう。 そこは先程の、閲覧数としおり数が表示されている欄。 今までは『閲覧:999』、『しおり:12』と表示されていた。 では、今はどうか。 閲覧:1000 しおり:13 そんな簡素な、しかしオレにとってはもっと多くの意味を内包した数字が示されていた。 「お、おぉ……増えた……!」 飛び上がったりはしない。 大声で歓喜したりも、涙を流したりもしない。 けれども、その時オレの内を満たしていた感情は間違いなく『感動』だった。 しかし。 その『感動』は、刹那にして『驚愕』へと変わった。 「なっ、何だ!?」 カッ! と、いきなりPCの画面が眩いばかりに光り輝き、オレの部屋を白く染め上げ、オレの目を焼いたのだ。 もう気分はラピュタ王だ。 しかも異変はそこで終わらなかった。 突如として、オレの足下の感覚が喪失したのだ。 でも重力はある、つまりどうなるか。 それはニュートン先生でなくても誰でも分かる、単純な結果。 「どうなってるんだぁぁぁぁ~…………」 浮遊感……と言うか落下感に吐き気を催しながら放った悲鳴も次第に遠くに聞こえ始め、オレは真っ白な視界の中で意識を手放した。 ──頑張れよ、少年──
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加