252人が本棚に入れています
本棚に追加
瑞希がありがとね、と呟いてタマがお座りしている場所に魔方陣を展開する。
かわいらしい黒猫はミャーッとこれまたバイバイとでも言ってるように鳴いてから、黄光の粒子となって霧散した。
俺も心の内で密かにありがとう、と礼を告げる。
「さぁ、早く行きましょう。
時間がもったいないわ」
「はいはいっと……」
二人で一緒に正門を通り抜ける。
目の前に広がってくるのは大半が茶色を占めたレンガ造りの住宅街だ。
屋根から伸びている煙突からは、もくもくと煙が立ち上っている。
ちらほら人が行き交っているのが見えるが、ほとんどの人が俺たちか向かおうとしているサヌール通りへと脚を動かしているのがわかる。
「ところであんた。
何で先生に追われてたの?」
土石で舗装された路地を二人仲良く、手を繋いでとまではいかないが並び合って歩いていると、瑞希が不意に問いかけてきた。
最初のコメントを投稿しよう!