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気づけば周りの景色は賑やかになっていた。
色とりどりの野菜や果物。
新鮮な魚介類。
ちょっとしたデザート。
他にも風の魔法を駆使しているのか、商品を宙に浮かしていたりするユニークな出店が通りの両脇にズラリと並んでいる。
よってらっしゃい!
できたてホヤホヤだよ―!
など、やかましくも気分を害さない売り文句が辺りを飛び交う。
隣の瑞希はというと、口元に指を添えてどの売り物がいいか楽しそうに品定めしている。
漂ってくる食欲をそそる匂いに誘われながら、混みあう人混みを進む。
しばらく何も買わずに歩いていると、樹木が疎らに植えられていてベンチが幾つか置かれた広場に行き着いた。
「おーい瑞希。
広場に着いちまったけど、どうすんの?」
「う~ん……。
ちょっと休憩したいわね。ベンチ空いてない?」
ベンチはここまで来る間に買ったであろう、デザートなどを食している人たちで既に埋めつくされていた。
どこかに余っていないかと首を左右に動かして探していると、視界にでかでかとそびえ立つ門が目に入る。
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