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周りにいた人たちにもこれはさすがに聞こえたのか、皆して立ち止まり、ある一点に注目していた。
視線の到達点は関門。
どうやらあそこが音源らしい。
俺は聴力には自信があるし、何より門からそう遠くないところにいたから、他の人に最初の音が聞こえなかったのも頷ける。
さっきまでガヤガヤと騒がしかった広場が、地響きのような音によって不自然なまでに静寂に染まっていく。
何か……嫌な予感がする……。
胸の奥が詰まるような、小さくも無視出来ない感覚。
よくわからないけど、とにかくここから離れよう……。
そう思い、瑞希の元へ引き返そうと一歩を踏み出した瞬間。
けたたましい轟音。
それと同時に、丈夫に造られていたはずの関門が木っ端微塵に吹き飛んだ。
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