全ての始まり

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ズサァァーッ!と地面と身体が擦れる音が長く聞こえてから、何とか地面に落ち着くことができた。 背中と受けとめた腹に走る痛みに顔をしかめながら、身体に覆いかぶさっているものを確認する。 火照った身体。 背中の後ろ辺りで結われた紫がかった黒髪。 こんな状況にも関わらず、ほのかに感じた椿の香り。 「くっ……。 すいません……大丈夫ですか?」 お……女の子……。 しかも気を使って覗き込んできたその顔は超美人。 彫刻のように綺麗に整った顔。 白い肌は触れてはいけないような繊細さを感じさせる。 しかしよく見れば、その肌には幾つもの切り傷や擦り傷が……。 「きゃ―――っ!!」 「!」 聞こえてきた叫び声。 しかもこの声は……。
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