252人が本棚に入れています
本棚に追加
―――――
「はあっ……、はあっ……」
薄暗い廊下を息を切らしながら走り抜ける。
ここから先の道は行き止まりだ。逃げる場所はもうない。
俺、天崎 光(アマサキ コウ)は手頃な柱を見付け、身を隠す。
「ちくしょう……。
どこまで追いかけてくんだ、あの野郎……」
荒くなった息を整え、首筋に流れる汗を拭いながら毒づいていると、
コツン……コツン……。
と、不気味な足音が耳に届き、思わず口を抑える。
その足音は一歩一歩確実に、着実に、俺が身を潜めている柱へと近づいてくる。
最初のコメントを投稿しよう!