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南無妙法蓮華経~
南無妙法蓮華経~
「本日は、………うちの息子の…通夜に来て…いただきまして…グスッ……まことに…あ……ありがとう………ござい……ウェェェェン!!」
3045.7.15
僕は、最新型のMS2の体験ツアーの途中の空港ジャックで人質の身代わりになり被弾。その弾が運悪く心臓に当たり死亡。病院側も手は尽くしたが血が足りなかったそうだ。MS2とは、最近とある会社が出した新型ゲームであり、僕はそのβテストツアーの抽選会に応募して見事あたったということだ。そのツアーの途中で、僕は一発の弾に殺された。
はずだった。
そのあと僕が目を覚ますと、真っ白な部屋に拘束されていた。体を縛っていた縄はとても頑丈で、横になっていた僕にはどうにもできなかった。
はぁ、まったく…絶望した…
僕はどこかの先生のセリフみたいなものを呟きながら、あたりを見回す。何もない。この部屋には血の流れている人形一つと、世界レベルの頑丈さを誇る縄が一本。目からビームが出せたり、体を変形させなければ、脱出は無理だ。
「ここは、どこなんだ…?」
『ここは、私の作った仮想空間です。』
頭の中を、念話の様な者が響き渡る。とても美しい、女神の様な声が。
『今は、魔王のせいで本来の姿をお見せすることはできません。ただ、あなたが魔王を倒してくれれば…貴方にもう一度人生をやり直すチャンスを与えましょう。』
その女神は、僕にあまりにもベタな展開を寄こしてきた。どうせ、
力プレゼント
↓
転生
↓
世界救う
↓
どこかの国の、
どこかの姫貰って、
妊、いや、結婚
↓
世界平和←バンザーイ!!
的な展開を寄こしてくるんだろう。わかっておる。僕の様な部屋こもり歴と、年齢-3年が同じ僕にとって、国を救うなんて、世界を救うなんて簡単な話じゃないか!!
「よし、引き受けよう。ただし、条件付きで。」
『ありがとうございます!しかし、その条件とは?』
「万能-(不死身+天才+マゾ)+サドスティック」
『…わかりました。魔王の住む世界にたどり着いたころにはその[万能-(不死身+天才+マゾ)+サドスティック]という謎の数学的力を授かっているでしょう。』
「わかった。」
そう、頷いてまぶたを閉じる俺だった。
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