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「フンフンフーン」
自作の曲を鼻歌しながら病院のある一角を歩く。
片手に握られたビニール袋はカサカサと少々耳障りな音を立てた。
「ヤッホー、裕翔くん」
『特別病室』と書かれた部屋に入り、軽やかに声を掛ける。
「あら、知念くん。こんにちは」
「こんにちは、春日井さん」
病室で花を飾っていた春日井さんに軽く返事をした。
春日井さんってのは、裕翔くん専属の看護婦さん。
まぁ、専属って言ってもそんな怪しい関係ではないけど。
「裕翔くんは?」
「寝てるわ。というか…寝かせたの」
「あぁ、また脱走を」
「そう。困ったものよね」
春日井さんの話を聞きながら、裕翔くんが寝ているベッドに近づく。
数日前に出来た無数の傷口は、跡形もなくなくなっていた。
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