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「じゃあ、とりあえず…玄関に行こうか」
『は、はい!』
広い道を数分歩くと、先ほどまでぼんやりと見えていた建物が明確に見えていく。
自分が想像していたより遥かに大きいそれに俺はあんぐりと口を開いた。
「無駄なくらい大きいだろ?」
「あ、はい…」
薮さんの言葉にそう返しながらも大ちゃんを見てみると、俺と同じくあんぐりと口を開けていた。
「中に色々な施設が詰まってるからこんなに大きくなったんだろうけど」
ここは、軍人全員の家みたいなもんだからね。
そう付け足すと、すたすたと玄関へと進んだ薮さん。
俺はそんな薮さんを追いながら
そうか、今日から俺の家はここなんだ。
当たり前のことを頭に巡らせた。
ここの軍は基本全寮制。
四年に一度ある帰省日のみ、実家なりに帰ることができる。
まぁ、俺は帰れる家なんてないけど。
いつの間にか薮さんが玄関の扉を開き、こちらに手招きしていた。
俺と大ちゃんは軽く顔を見合わせると、頷き玄関へと向かった。
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