一夏戦争

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水澤は強引に話を止め、此方に向かい部長と呼びかけた。 少し後ろから返事が聞こえてくる。 部長、長谷部誠は今までドアの前に立っていたのだろう。 話を邪魔しないようにと思ってか、消極的な彼がそうしてドアの前に立っているのは珍しい事では無い。 ようやく椅子に座ろうと歩き出した彼は、わざわざ一番遠い椅子に向かって行く。 本人曰く、そこが部長特等席なんだとか。 それじゃあと、男子にしては高い声を部屋に響かせ、長谷部はその場を仕切ろうとする。 挙動が自信なさげなものだから大抵の場合仕切ることは出来ず、水澤に話を持っていかれる。 口を挟まないかを確認した後、彼は言葉を続けた。 「えっと。まず始めに、だけどね。みやちゃんは来ないって、ほらメールが。」 みやちゃん、大宮宮古は長谷部の幼馴染であり、この部屋を使っているうちの一人だ。 彼女の妹とは異性でフレンド、つまりは彼氏彼女の関係にあるためにこの中で一番親交がある。 接してみて気付くことだが宮古は根っからの面倒くさがりであり、言ってしまえば駄目人間だ。 何文字のメールだったんだと、そんな質問に一文字と答えが返ってくるほどに筋金入りである。 「呼び出した方が良いか?それなら妹にメールするけど」 「それじゃあ頼もうかな。お願い」 返事を聞き、姉を学校に行かせてくれとメールを打つ。 水澤に何か言われてはいやだからと思い、機密にしなければならない会議だと、だから部員以外は絶対に来てならないと書き加える。 送ってから気付くことだが、この内容では部室を覗きたくなるのではないだろうか。 返ってきたメールには直ぐに向かわせるよと、それに恥ずかしいだろうから行かないよと書かれていた。 よく出来ているだろうと長谷部に見せびらかしていると、水澤に鼻で笑われた。
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