クロスロード第一章~人生のスクランブル交差点~

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5.出勤初日・・・香山貴子 まずい! 初日から遅刻なんてシャレにならないわ・・・ でも、ノーメイクで出勤するなんてわけにもいかない。 とにかくキッチリ準備だけはして行こう。 「あーもう!ほんと嫌になちゃうわ!」 昨日の晩、前の職場の人達と飲み明かして、少しだけ寝て出勤を・・・と思ったら寝すぎたっていう、至ってありがちなパターンにはまってしまうなんて、つくずく年はとりたくないもんね。 よし! 出発! 電車で行くつもりだったけど、たぶんそれじゃあ間に合わないし、今日は車で行って、コインパーキングにでも止めておこう。 初日から遅れちゃだめでしょ?遅れちゃ。 私は愛車のグランビアに乗り込む。 はっきり言って燃費も悪いし、独り身の私には必要ない大きさなのだが、昔の彼氏の影響で今も大きい車が好きでいる。 彼への気持ちは、彼と別れて、彼が別の女と結婚した時に捨てたつもりだが、これが私なりの未練の表れなのかもしれないと思うと少し笑えた。 私だって人並みの感情があるのよ。 決して鉄の如き女ではないという証明でもあるから、自分自身、この未練の形を責める気持ちにはならないのだ。 「えーっと・・・この辺にコインパーキングは・・・っと。」 ナビが全部答えてくれる。 こいつが男だったら間違いなく彼氏候補だわ。 私は車を止め、会社へと急ぐ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「じゃあ、皆に紹介するから一緒に来てくれるかな」 社長に促され、後ろを歩く。 今日から新しい日々が始まるのだ。 社長がドアを開け、先に事務所に入る。 続いて中へ。 へー。
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