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雨でも風でも、雪が降っても、台風や暴風雨などでない限りは、毎日ランニングに出掛ける。
それが例え、学園が長期の休みでも。
この日課を始めたのは、初等科三年の頃からだ。
別に、サッカー選手やプロ野球選手になりたいから始めたわけではない。
なんとなく、目覚ましがなくても幼稚舎の年長の頃から5時30分に起きるくせがつき、時間を持て余してしまっていたからだ。
走る時間は、高等科になってから、いつも全ての電話とメールを終えた6時から。
寮の近くの神社へ行き、長い階段を上がる。
賽銭の五円を投げ入れ、お参りをして一休みし、また寮へ戻ると6時30分。
シャワーを浴びて着替えを済ますと、寮の朝食時間である7時になる。
この寮は、平屋となっており、A~E棟までがある。
A・B・D・E棟に、生徒の部屋があり、C棟に食堂がある。
夢斗はB棟、飛鳥はE棟に、それぞれ部屋があり、1人ひとり個室となっていて、生徒同士が部屋を行き来できるのは、9時~20時までだ。
夢斗は、朝食を取るため、C棟へと来ていた。
「千代さん、おはよう。」
「おっ、夢斗!今日も一番だねえ!おはよう!!」
この“千代さん”と呼ばれる人は、寮にいる生徒100人以上分の毎日の食事を一人で作り、面倒を見てくれる、年齢不詳の寮母・緑川千代さんだ。
「千代さん、今日はご飯なに?」
「今日は、和食の人は焼き魚の鮭に、漬け物・味噌汁に味付け海苔・生卵・納豆があるよ、洋食は目玉焼きかスクランブルエッグ・ベーコンかウィンナーに食パンかクロワッサンだよ。飲み物には、野菜ジュースか牛乳・お茶のどれか!それが嫌なら水飲みな!!」
最後の、「飲み物には、野菜ジュースか牛乳・お茶のどれか!それが嫌なら水飲みな!!」と、千代のいつものセリフを聞き終わり、夢斗は話す。
「もしかして、野菜ジュースって千代さん特製の…?」
「当たり前!!」
「…じゃあ、今日はクロワッサンとスクランブルエッグに、ベーコンつけて?飲み物は…どうせ何頼んでも野菜ジュースも一緒についてくるから、好きにしてよ。」
「はいよー。」
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