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風が大地を駆ける。
時刻は、真夜中を過ぎていた。
ミスリの荒野を四駆車が疾走する。
大地の静寂は、一瞬にして掻き消された。
運転席には、紺色の髪をした二十代半ばの男がハンドルを握る。
彼の名前は、サクス・クルー。獣保護施設の隊員で獣を救出した後だった。
世の中は、珍獣奇獣を密猟し、売り買いする時代だ。この世界では、珍獣奇獣を総称して獣と呼んでいる。
サクスの仕事は、捕まった奇獣を助けることであった。
助手席では、救出された奇獣が荒野を見据える。
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