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  「らっしゃあせぇっ!」   うん。普通。 てか、何語かわからない。   「渚、久しぶりー。急に来るって言うからビックリしたし」   笑いながら席へと案内する人は太めの柔らかそうな顔立ち…うん。タイプではない。   「初めましてー」   にこやかに挨拶して真ん前に座る金髪の目が細い子…うん。この子もタイプじゃない。   夜の世界に偏見はないけど、元々見た目が苦手な人が多い世界。   でも、オープン直後だからか、店が小さいからか、その店にはこの時、二人しか従業員が居なかった。   「あ、初めましてー。マスターの木梨ですー」   「どーも」   太めの人は、柔らかそうな雰囲気の割に表情が変わらない。   「初めまして!俺、今日からで、まだ名前決まってないんですよー」   「本名は?」   「たかしです!」   「なら《たか》でいいんじゃね?」   てな感じで、向こうの自己紹介はおしまい。   「ちなみに、オネーサンの名前は?」   「雅」   「この子こういう店初めてだから、優しくしてあげてよ?」   …渚…余計な事言ってんなよ。   そんな感じで、楽しくないけど、私のメンズデビューは1setで終了。  
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