物語の始まり

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「燐ちゃん。お兄ちゃんのことは私からもお願いする。けど、お兄ちゃんに手を出したら許さないから」 「大丈夫よ、手は出さないから」 さっきから手を出すとか出さないとか何を話しているんだ…………まさか!?手を出すって、俺を殺すってことか! 油断出来ないな………。今、一瞬だけ動揺したから。…………いや、動揺したのは俺か?なら大丈夫か。 「じゃあね、燐ちゃんお兄ちゃん!」 「じゃあな」 「バイバイみんな!燵姫さん、お世話になりました!」 俺と台南はみんなに見送られ、歪んだ空間に向かった。 「正羅、はい」 そう言い台南がそっと手を俺の前に出した。やっぱり怖いのか。 俺は何も言わずにその手を握った。正直俺も少し怖かった、だって近寄るほど気持ち悪く歪んで見えるだもの。仕方ないよね、これは。 握った手は小さく少し冷たかった。それが心地良く。握った後、すぐに握り返して来た。 その時、燵姫が楓と俺達の間に立った。俺からは楓の姿は燵姫で隠れて見えなかった。楓からもおそらく………絶対に見えないな…。燵姫が楓が見ようとした方向に移動して見えないようにしている。
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